

庫内で最も長い作業時間は「歩行」である|ロケーションと動線を見直す倉庫改善
倉庫改善というと、マテハン機器やシステムの導入など、「新しい設備への投資」から考えてしまいがちです。
しかし、設備投資を検討する前に確認しておきたいのが、現在のロケーションと作業者の動線です。
ピッキング作業の時間を細かく分けてみると、実際に商品を手に取っている時間よりも、**商品を探したり、棚から棚へ移動したりする「歩行時間」**のほうが長くなっているケースは少なくありません。
つまり、倉庫の生産性を改善するためには、設備を増やす前に、
「人がどこを、どれだけ歩いているのか」
を把握することが重要です。
出荷実績から「一等地」を決める
まず確認したいのが、商品の配置です。
倉庫内の商品をなんとなく並べるのではなく、実際の出荷実績をもとに、出荷頻度の高い順に商品を並べてみます。
一般的には、出荷頻度の高い上位の商品だけで、出荷全体の大きな割合を占めているケースがあります。
こうした商品を出荷場所から遠い棚に置いてしまうと、作業者は何度も長い距離を往復することになります。
反対に、出荷頻度の高い商品を出荷口に近い場所へ集めれば、それだけでも歩行距離を短縮できる可能性があります。
ポイントは、感覚で配置を決めるのではなく、出荷実績というデータをもとにロケーションを決めることです。
「動かない在庫」が一等地を占めていないか
出荷頻度の高い商品を見るだけではなく、反対にほとんど動いていない在庫にも注目します。
数年前に配置したまま、現在はほとんど出荷されていない商品が、出荷口に近い便利な棚を占有しているケースもあります。
倉庫のロケーションは、一度決めたら終わりではありません。
商品の出荷頻度や売れ方は時間とともに変化するため、定期的に実績を確認し、配置を見直していく必要があります。
棚の「高さ」も作業時間を左右する
次に確認したいのが、商品の置かれている高さです。
よく出る商品は、単に出荷口の近くに置けばよいわけではありません。
腰から目線付近など、作業者が無理なく商品を取りやすい高さに配置することも重要です。
しゃがむ、背伸びをする、脚立を使うといった動作が何度も発生すると、一つひとつは数秒でも、1日・1か月単位では大きな作業時間になります。
さらに、重量物が高い位置に置かれていないかなど、作業効率だけでなく安全面からも確認しておきましょう。
固定ロケーションとフリーロケーションを使い分ける
倉庫の保管方法には、大きく分けて「固定ロケーション」と「フリーロケーション」があります。
固定ロケーションは、商品ごとに保管場所を決める方法です。
品目数が比較的少なく、作業者が商品の場所を覚えやすい倉庫に向いています。
一方のフリーロケーションは、空いている場所へ商品を保管していく方法です。
品目数が多かったり、在庫量の変動が大きかったりする倉庫では、スペースを有効活用しやすくなります。
ただし、フリーロケーションを採用する場合は、システムによって「どの商品がどこにあるのか」を管理できることが前提になります。
どちらが優れているという話ではなく、自社の品目数・在庫特性・管理方法に合わせて選ぶことが大切です。
倉庫改善は「歩行時間」を測るところから始める
倉庫の生産性を上げようとすると、設備投資や自動化に目が向きがちです。
しかし、その前に現在の作業を分析すると、まだ改善できる余地が残っていることがあります。
まず確認したいのは、
- 出荷頻度の高い商品がどこに置かれているか
- 動かない在庫が良い場所を占めていないか
- 商品が取りやすい高さに配置されているか
- 作業者が1日の中でどれくらい歩いているか
といった基本的な部分です。
実績データをもとにロケーションと動線を見直すだけでも、作業時間を短縮できる可能性があります。
配置を変えるのに、大きな投資は必要ありません。
必要なのは、まず「どの商品が、どれくらい動いているのか」「作業者がどれくらい歩いているのか」という実績データです。
設備を増やす前に、今ある倉庫の使い方を見直す。
そこから始めることが、庫内改善の第一歩です。
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