

物流費を下げるには?運賃交渉より先に見直すべき4つの条件
物流費を下げようとすると、まず「運賃を下げられないか」と考えがちです。
しかし、運賃には市場環境によって決まる部分が大きく、交渉だけで継続的なコスト削減を実現することは簡単ではありません。
そこで重要になるのが、物流費そのものではなく、物流費を決めている“上流の条件”を見直すことです。
発注ロット、リードタイム、出荷締め時間、納品頻度。
こうした条件は物流部門の外側で決められていることも多い一方で、輸送効率や在庫量を大きく左右します。
物流費を改善するためには、「運賃はいくらか」だけではなく、「なぜその物流費になっているのか」まで遡って考えることが必要です。
物流費の基本的な構造や、物流費率と物流原価の違いについては、「物流費とは?物流費率と物流原価の違い|正しいコスト管理の考え方」で詳しく解説しています。
物流費は「物流の外側」で決まっている
物流費に影響する条件は、物流部門だけで決められているわけではありません。
たとえば、
- 一度にどれだけ発注するのか
- 注文から納品まで何日確保するのか
- 何時までの注文を当日出荷するのか
- 週に何回納品するのか
といった条件です。
これらは営業や購買、生産、取引先との契約などによって決められているケースがあります。
しかし、その条件によってトラックの積載率、配送回数、庫内作業、必要在庫などが変化し、最終的な物流費につながっています。
そのため、物流部門だけでコスト削減策を考えても、改善できる範囲には限界があります。
運賃交渉だけでは物流費を下げにくい
物流費削減というと、物流会社との価格交渉が最初の選択肢になりがちです。
しかし、運賃そのものを下げることだけを考えるのではなく、運賃が発生する条件を変えられないかという視点も必要です。
たとえば、少量の商品を高頻度で配送している場合。
1回あたりの運賃を下げる交渉をするよりも、発注や納品条件を見直し、配送回数そのものを減らせれば、物流費全体を下げられる可能性があります。
つまり、
「単価を下げる」だけでなく、「物流の発生の仕方を変える」
という考え方です。
① 発注ロットには「最適なポイント」がある
発注ロットをまとめれば、一般的には輸送回数を減らし、積載効率を高めやすくなります。
ただし、大きくすればするほど良いわけではありません。
発注量を増やせば、その分だけ在庫量が増え、保管スペースや在庫維持費が増加する可能性があります。
反対に発注ロットを小さくすると、在庫は抑えられても、輸送回数が増えて物流費が上昇することがあります。
そのため重要なのは、
輸送費 + 在庫関連費
を合わせて考えることです。
どちらか一方だけを見るのではなく、合計コストが最も小さくなる発注条件を探すことが物流費改善につながります。
② リードタイムを見直すと積載率が変わる
リードタイムも物流費を左右する重要な条件です。
たとえば、「当日受注・当日出荷」といった短いリードタイムでは、注文をまとめる時間が少なくなります。
その結果、十分な物量が集まらないまま出荷しなければならず、積載率が低くなることがあります。
一方、納品までの時間に一定の余裕を持たせることができれば、複数の注文をまとめたり、配送計画を調整したりする余地が生まれます。
つまり、リードタイムの変更は単なる物流ルールの変更ではなく、営業条件や顧客サービスとのバランスを考えるテーマでもあります。
③ 出荷締め時間を見直す
「何時までの注文を当日出荷するか」という出荷締め時間も、物流コストに影響します。
締め時間が遅いほど顧客にとっては便利ですが、物流現場では短時間にピッキング・梱包・出荷作業を集中させる必要があります。
その結果、
作業人員の増加、残業、緊急対応、積載効率の低下
などにつながることがあります。
現在の締め時間が本当に必要なのか、顧客や商品によって条件を分けられないかを検討することも、物流費改善の一つです。
④ 納品頻度を見直す
毎日納品している取引先についても、「本当に毎日である必要があるのか」を確認する余地があります。
納品頻度を下げられれば、1回あたりの配送量をまとめやすくなり、積載率向上や配送回数削減につながる可能性があります。
ただし、納品頻度を減らすことで取引先側の在庫が増える場合もあります。
自社の物流費だけを見るのではなく、取引先を含めたサプライチェーン全体で条件を考えることが重要です。
条件を変えるなら「いくら下がるか」を先に出す
発注ロットやリードタイム、出荷締め時間などを変更しようとしても、物流部門だけでは決められないことがあります。
営業部門や購買部門、取引先との調整が必要になるからです。
そこで重要なのが、単に
「この条件を変えてください」
と伝えるのではなく、
「この条件を変えると、物流費が年間○○万円下がる」
という形で効果を数字にすることです。
金額として効果を示せれば、他部門との議論もしやすくなり、経営判断の材料にもなります。
物流改善は「誰が条件を決めているか」まで遡る
物流費が高い原因が分かったとしても、その条件を物流部門が変更できるとは限りません。
たとえば、リードタイムが営業部門によって決められているのであれば、物流部門だけで議論していても改善は進みません。
まず、
「この物流条件は、誰が決めているのか」
を整理することが必要です。
そのうえで、条件を変更した場合のコスト効果を算出し、関係部門と共有します。
物流改善を進めるには、物流部門の中だけを見るのではなく、営業・購買・生産などを含めた上流の意思決定まで遡ることが重要です。
まとめ|物流費ではなく「物流費を決めている条件」を変える
物流費を下げたいとき、運賃交渉だけが方法ではありません。
むしろ、
発注ロット・リードタイム・出荷締め時間・納品頻度
といった上流条件を見直すことで、物流そのものの発生の仕方を変えられる可能性があります。
大切なのは、条件を変えること自体を目的にしないことです。
「条件を変えた場合、物流費がいくら下がるのか」
を数字で示したうえで、関係部門と議論する。
物流費の改善は、物流部門だけの問題ではありません。
条件を変えるには、変えたときの金額を先に出す。
この考え方が、部門をまたいだ物流改善を進める第一歩になります。
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