

倉庫の生産性は「人時」でしか比べられない
「人が足りない」は、本当に人手不足なのか?
倉庫の現場では、
「最近、人が足りない」
「もっと作業員を増やした方がいい」
「この拠点は人が多すぎるのでは?」
といった話がよく出てきます。
しかし、働いている「人数」だけを見ても、本当の生産性は判断できません。
なぜなら、同じ10人が働いていても、1人あたりの勤務時間や作業時間によって、実際に投入されている労働量は大きく変わるからです。
そこで重要になるのが、
「何人いるか」ではなく、「何人時を投入したか」で考えることです。
そもそも「人時」とは?
「人時」とは、作業人数 × 作業時間で表す労働量のことです。
たとえば、
10人が6時間働いた場合
→ 10人 × 6時間 = 60人時
8人が8時間働いた場合
→ 8人 × 8時間 = 64人時
となります。
一見すると「8人で運営している拠点」の方が効率的に見えます。
しかし実際に投入している労働量を見ると、10人の拠点は60人時、8人の拠点は64人時です。
つまり、人数だけでは本当の投入量は比較できないということです。
POINT 01|拠点ごとに同じ基準で比較する
倉庫の生産性を比較するためには、まず「人時」の数え方を統一する必要があります。
ここで重要になるのが、人時生産性の「分子」と「分母」をどう決めるかです。
【分子】何を成果として数えるのか
たとえば、
・出荷行数
・ピース数
・出荷件数
などが考えられます。
【分母】どこまでを作業時間に含めるのか
こちらも、
・実作業時間だけを含める
・朝礼を含める
・清掃時間を含める
・待機時間まで含める
など、企業によって考え方が変わります。
このルールが拠点ごとに違ってしまうと、せっかく数値を出しても正しく比較できません。
まずは「何を成果とし、どの時間を人時として数えるのか」を統一することが重要です。
POINT 02|人時生産性を数字で見えるようにする
ルールを決めたら、実際に人時生産性を算出します。
たとえば、
出荷行数 ÷ 総人時 = 1人時あたりの処理行数
という形です。
例
A拠点
出荷行数:6,000行
総人時:60人時
6,000 ÷ 60 = 100行/人時
B拠点
出荷行数:6,000行
総人時:80人時
6,000 ÷ 80 = 75行/人時
出荷量だけを見れば、どちらも6,000行です。
しかし人時まで含めて見ると、同じ出荷量を処理するために必要だった労働量に違いがあることが分かります。
この差が見えるようになって初めて、「なぜ差が生まれているのか?」を分析できるようになります。
POINT 03|雇用形態に関係なく「総人時」で見る
倉庫では、
・正社員
・パート、アルバイト
・派遣社員
・業務委託
など、さまざまな働き方の人が同じ現場に入っていることがあります。
このとき、「社員だけ」「派遣だけ」と分けて考えてしまうと、現場全体の生産性が見えにくくなります。
大切なのは、雇用形態に関係なく、その現場に投入された労働量を総人時として捉えることです。
委託先からの請求書などに人時が記載されている場合も、その数字を含めて現場全体の投入人時を把握します。
そうすることで、運営体制の違う拠点同士でも比較しやすくなります。
POINT 04|月次平均だけを見ない
人時生産性を出したら、それで終わりではありません。
特に注意したいのが、「月次平均だけで判断しない」ことです。
物流現場では、物量に波があります。
たとえば、
・月曜日は物量が多い
・火曜日は物量が少ない
・午前中に出荷作業が集中する
・午後になると待機時間が増える
といったことがあります。
ところが要員数が毎日ほぼ同じだった場合、物量が少ない時間帯には人が余り、多い時間帯には人が足りなくなる可能性があります。
月次平均だけを見ると、この「ムラ」が見えなくなってしまいます。
POINT 05|曜日別・時間帯別まで分解する
そこで、人時生産性をさらに、
「曜日別」
「時間帯別」
まで分解して見ていきます。
すると、
「月曜日の午前中だけ生産性が低い」
「15時以降に人が余っている」
「特定の曜日だけ残業が増えている」
といった現場の特徴が見えやすくなります。
ここまで見えるようになると、単純に「人を増やす・減らす」ではなく、
物量に合わせて、いつ・どこに・何人配置するのか
という具体的な改善につなげることができます。
「人が足りない」のか、「やり方が悪い」のかを切り分ける
人時生産性を把握する大きな目的は、単に数字を出すことではありません。
本当に確認したいのは、
「人が足りないのか?」
それとも、
「人の配置や作業方法に問題があるのか?」
ということです。
「忙しいから人を増やそう」と考える前に、人時生産性を確認する。
そして、拠点別・曜日別・時間帯別に数字を比較する。
そうすることで、感覚ではなく数字を根拠に改善策を考えられるようになります。
まとめ|「何人いるか」ではなく「何人時投入したか」
倉庫の生産性を正しく把握するために重要なのは、単純な作業人数ではありません。
見るべきなのは、
「何人いるか」ではなく、
「何人時投入したか」。
そして、
成果 ÷ 投入人時
という考え方で生産性を可視化することです。
さらに、月次平均だけではなく、拠点別・曜日別・時間帯別まで分解することで、現場の本当の課題が見えてきます。
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