コラム

輸送費を下げようとすると、まず「運賃を下げられないか」と考えがちです。

しかし、運賃単価を下げる交渉には限界があります。

そこで考えたいのが、「1回あたりの運賃を下げる」のではなく、「運ぶ回数そのものを減らす」という方法です。

運行本数を減らすことができれば、運賃単価を変えなくても輸送費を削減できます。

そのためには、積載率や配送頻度を見直し、それでも改善しきれない部分について、他社との積合せや共同配送を検討していくことが重要です。


輸送費は、大きく考えると、

運行本数 × 1運行あたりの運賃

によって決まります。

1運行あたりの運賃を下げることだけを考えるのではなく、そもそも必要な運行本数を減らせないかを考えることが重要です。

運行本数を減らすための代表的な打ち手は、大きく3つあります。


最初に確認したいのが、現在のトラックにどれだけ荷物を積めているかです。

積載率が低い状態で複数のトラックを走らせている場合、荷物をまとめることで運行本数を減らせる可能性があります。

まずは便別の積載率を実測し、どの便にどれくらい余力があるのかを把握します。

また、単純に荷物をまとめるだけではなく、混載できる品目・できない品目を整理しておくことも重要です。

共同配送など他社との取り組みを検討する前に、まず自社だけで改善できる余地を確認しましょう。


次に考えたいのが、配送頻度です。

毎日配送しているものをまとめたり、複数回に分かれている配送を集約したりすることで、運行本数を減らせる可能性があります。

ただし、配送頻度の変更は物流部門だけでは決められません。

顧客ごとの納品頻度と、その頻度が本当に必要なのかを確認し、営業部門や取引先とも調整する必要があります。

「これまで毎日届けていたから」という理由だけで現在の配送頻度を続けるのではなく、現在の取引条件に照らして本当に必要な頻度なのかを改めて確認することが重要です。


積載率や配送頻度を見直しても改善余地が残る場合には、他社との積合せや共同配送を検討します。

配送地域や納品先、時間帯などの条件が合えば、複数企業の荷物をまとめることで、トラック1台あたりの積載率を高められる可能性があります。

一方で、共同配送は複数の企業が関わるため、条件整理が不十分なまま進めると話が止まりやすくなります。

たとえば、

  • 自社側の積載率や配送頻度が整理できていない
  • 荷物の着時刻が合わない
  • 費用の分担方法が決まらない

といった問題です。

そのため、共同配送を検討する前に、自社の荷姿や配送条件を標準化しておくことが重要です。

また、着時刻が重なる場合には取引先と時間帯の分散を協議し、費用については重量・容積・件数など、あらかじめ配分基準を決めておく必要があります。

共同配送でつまずく原因は、他社との交渉以前に、自社側の準備不足にあるケースも少なくありません。


さらに中長期的に考えたいのが、物流拠点と在庫の配置です。

拠点を増やすことで納品先までの輸送距離を短くできれば、輸送費を下げられる可能性があります。

しかし、拠点を増やせば、

  • 拠点の賃料
  • 人件費
  • 在庫維持費
  • 倉庫作業費

などは増えていきます。

つまり、拠点は「多いほど良い」「少ないほど良い」というものではありません。

輸送費と拠点費・在庫関連費を合わせた総物流費が最も小さくなる拠点数を探すことが重要です。

数年前に決めた拠点配置であっても、現在も最適とは限りません。


物流拠点の最適な配置は、事業環境によって変化します。

たとえば、次のような変化があった場合には、拠点配置をあらためて検証するタイミングです。

取引先の分布が変わった
主要顧客の所在地や出荷構成が数年前と変わっていれば、現在の拠点配置が最適ではなくなっている可能性があります。

納品条件が変わった
リードタイムや納品頻度が変われば、必要な拠点数も変わります。

運賃水準が変わった
輸送費が上昇すると、拠点を増やして配送距離を短縮する方が総コストを抑えられる場合があります。

賃料や人件費が変わった
一方で拠点の固定費が上昇すれば、拠点を集約した方が有利になるケースもあります。

取引条件やコスト構造が変わっているにもかかわらず、物流拠点だけが数年前のままになっていないかを確認することが重要です。


物流ネットワークの見直しや輸送効率化を進める際には、国の支援制度を活用できる場合があります。

国土交通省の2026年度「物流効率化推進事業」では、モーダルシフト、幹線輸送の集約化、ラストワンマイル配送の効率化、中継輸送など、物流効率化に向けた取り組みが支援対象とされています。なお、2026年度の同事業の応募受付は終了しています。

また、共同輸配送や帰り荷の確保、保管・輸送経路の最適化などに向けて、複数の荷主・物流事業者などが物流データを連携する取り組みを対象とした支援制度も実施されています。2026年9月25日には4次公募が開始されています。

支援内容や対象事業、公募期間などは変更される場合があるため、利用を検討する際には国土交通省の最新情報をご確認ください。

参考:国土交通省「物流効率化推進事業」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/ms_subsidy.html

参考:国土交通省「共同輸配送や帰り荷確保等のための物流データ連携促進支援事業」
https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_001042.html

ただし、補助金があること自体を、物流改善に取り組む理由にするべきではありません。

まず自社の課題を把握し、実施すべき施策を決める。そのうえで、利用できる支援制度があるかを確認するという順番が重要です。


物流改善を社内で進めるためには、「積載率を上げる」「配送頻度を見直す」といった施策だけではなく、実際にいくら削減できるのかまで示すことが重要です。

たとえば、

現在の運行本数 → 積載率改善後の本数 → 配送頻度見直し後の本数 → 共同配送後の本数

という順番で試算します。

削減できる運行本数が分かれば、

削減運行本数 × 1運行あたりの運賃

によって、改善による効果を金額に置き換えられます。

「物流を効率化したい」という提案ではなく、「この条件を変更すると年間○○万円の削減が見込める」という形まで落とし込むことで、社内での意思決定もしやすくなります。


輸送費を下げるために、運賃単価の交渉だけを続けても限界があります。

まずは、

積載率の改善 → 配送頻度の見直し → 他社との積合せ・共同配送

という順番で、運行本数そのものを減らせないか検討します。

さらに中長期的には、現在の取引先や納品条件、運賃水準などに合わせて、拠点と在庫の配置もあらためて検算する必要があります。

そして、改善策を実行するときには、運行本数の削減効果を金額に置き換えて示すことが重要です。

自社だけでできることを終えてから、他社との積合せへ進む。

この順番で取り組むことで、単価交渉だけに頼らない、継続的な輸送費削減につながります。


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