

CLO(物流統括管理者)とは?
CLO(Chief Logistics Officer)は、企業の物流を経営の視点から統括し、物流戦略や改善を推進する役割を担います。
改正物流効率化法への対応では、一定規模以上の特定事業者に「物流統括管理者」の選任が求められます。物流統括管理者には、物流部門だけでなく営業・生産・調達などの関係部門を横断し、物流効率化に向けた取り組みを経営レベルで推進することが求められます。
本記事では、CLO(物流統括管理者)に求められる役割や権限、社内の推進体制、選任後に取り組むべきことについて解説します。
CLOは“物流の担当者”ではなく“決められる人”
改正物流効率化法への対応において、CLO(物流統括管理者)は単なる「物流の責任者」ではありません。
CLOに求められるのは、物流に関する専門知識以上に、部門をまたいで意思決定できる権限です。
物流部門だけで改善を進めるのではなく、営業・生産・調達などを巻き込みながら、会社全体として物流改革を進められる体制をつくることが重要です。
CLOに求められるのは「経営レベルの意思決定」
法令上、CLOは「特定荷主が行う事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」とされています。
つまり、物流部長など特定部門の責任者というよりも、経営幹部クラスを想定した役割です。
CLOの選任・解任には届出が必要であり、特定荷主に指定された後は、中長期計画の提出までに選任する必要があります。
なぜ、これほど高いレベルの役職が求められるのでしょうか。
物流改善は「物流部門だけ」では決められない
荷待ち時間の削減や積載効率の向上は、物流部門だけでは実現できません。
たとえば、
- 納品リードタイム
- 出荷締め時間
- 発注ロット
- 車両の入場ルール
などを変更しようとすれば、物流だけでなく営業・生産・調達など複数の部門の判断が必要になります。
物流部門が改善策を考えても、他部門との調整や意思決定が進まなければ、計画は実行されません。
だからこそCLOには、部門をまたいで方針を決められる権限が必要になります。
CLOの役割は「方針と優先順位を決めること」
CLO自身が、すべての物流業務を実行する必要はありません。
重要なのは、「何を優先し、どこから改善するのか」を決めることです。
CLOが担うのは方針と優先順位の決定。
一方で、実際の計測やデータ整備、改善施策の実行などは、事務局や各部門が担います。
CLOがすべてを抱えるのではなく、それぞれの役割を明確に分けることが重要です。
「CLO・事務局・各部門」の3層で役割を分ける
物流改革を実際に動かすためには、役割を大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。
① CLO
物流改革の方針や優先順位を決定する役割です。
部門間で意見が分かれた場合にも、会社全体の視点から意思決定を行います。
② 事務局
物流に関する計測・データ整備や進捗管理などを担当します。
CLOが判断するために必要な情報を整理し、中長期計画や改善活動を支える役割です。
③ 各部門
営業・生産・調達・物流などの各部門が、決められた方針に基づいて具体的な施策を実行します。
この3層を最初から分けておくことで、「CLOを選任したものの、結局誰が何をするのか分からない」という状態を防ぎやすくなります。
兼務でも「権限」と「事務局」を明確にする
実務では、既存の役員などがCLOを兼務するケースも想定されます。
ただし、役職だけCLOにしても、実際に意思決定できる権限がなければ物流改革は進みません。
兼務する場合でも、
「CLOとして何を決められるのか」
を明確にしておく必要があります。
さらに、CLO本人だけで制度対応や物流改革を進めるのではなく、計測やデータ整理、各部門との調整を担う事務局を設置することも重要です。
CLO選任後、最初の90日で何をするか
CLOを選任したら、最初にすべての物流課題を解決しようとする必要はありません。
まず取り組むべきなのは、次の3つです。
① 取扱貨物重量の算定と対象判定
自社がどの程度の貨物を取り扱っているのかを把握し、制度上の対象範囲を整理します。
② 荷待ち・荷役等時間の計測方法を決める
物流改善を進めるためには、現状を数字で把握できる状態をつくる必要があります。
どの拠点で、どのデータを、どのように計測するのかを決めます。
③ 推進体制を設置する
CLO・事務局・各部門の役割を決め、物流改革を継続的に進められる体制を整えます。
この3つが整えば、その後の中長期計画も具体的に作りやすくなります。
反対に、計測が始まっていない状態では、目標値の根拠をつくることができません。
CLO選任を「届出だけ」で終わらせない
CLOを選任する目的は、役職を一つ増やすことではありません。
物流課題を経営課題として捉え、部門を横断して意思決定できる仕組みをつくることが重要です。
CLOを選任しても、
「誰がデータを集めるのか」
「誰が各部門を動かすのか」
「最終的に誰が決めるのか」
が曖昧なままでは、中長期計画を作成しても実行につながりません。
「決められる人」をCLOに置き、その意思決定を支える事務局と実行する各部門を整える。
ここまで設計して、初めてCLOが実際に機能する体制になります。
CLOを支える「外部物流責任者」という選択肢
CLO(物流統括管理者)を選任しても、物流データの分析やKPI管理、改善施策の立案、各部門との調整など、実務を社内だけで進めることが難しいケースもあります。
そのような場合には、CLOの意思決定や物流改革の推進を、物流の専門家が外部から支援する方法もあります。
ロジエンスコンサルティングでは、物流戦略の立案からコスト改善、KPI管理、物流関連法への対応までを伴走する「外部物流責任者サービス」を提供しています。
こんな悩みはありませんか?
- CLOを誰にすべきか決められていない
- 物流部長を選任したが、他部門との調整が進まない
- 兼務にしたものの、実務を誰に割り振ればよいか分からない
- CLOを選任したが、何から着手させるべきか分からない
この記事で分かること
- CLOの法令上の要件と、選任・届出の時期
- CLOの役割と必要な権限
- CLO・事務局・各部門の3層での役割分担
- CLO選任後、最初の90日で取り組むこと
- 物流改革を継続するための運営体制
「決められない人」をCLOに置くと、計画は書類で終わる。
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